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大谷田就労支援センターの支援の考え方や普段の様子を載せていきます!

名もなき支援者連絡ノート 日記

2013年10月21日 言葉の重さ

ご連絡ありがとうございます。10年ほど前に就労されていた時に、上司の方から無理難題を要求されて、ご本人もどうにもできず、結果として会社を退職することになり、それから就労に対して前向きに考えられなくなってしまったのですね。ご家族としても心配な日々だったと思います。

大谷田就労支援センターも、様々な企業様から見学の機会をいただくことが多くなりました。企業の担当者の方々とお話しをさせていただいて感じていることは、ここ数年の企業様の障がいのある方の雇用の考え方が大きく変わってきているということです。障がいがあっても、出来る仕事を構築して、ご本人のできること・強みを見出し、仕事の戦力として考えています。同時に障がいに対する配慮や勤務時間の調整等、最大限の配慮をしていただける企業様も増えてきています。

我々支援者が、現場で企業の従業員の方々と接しているとき、個々人をベースに考えると、やはり障がいのある方にどの様に関わって良いか分からないとか、どこまで仕事ができるか分からないなどの意見を聴くことが多くあります。そのような状況ですと、障がいのある方に伝えることや指示等には無理難題がでてきますね。従業員の方々が、どの様に関わって良いか分からないとか、どこまで仕事ができるか分からないなどの状況がある場合は、ご本人の特徴だけでなく、なぜその事象が起きているのかを説明させていただき、更に一つひとつの対応方法や伝え方などを、従業員の方々に引き継ぎをさせていただいています。

簡単に見えるかも知れませんが、そもそも障がいのある方と接したこともない方にとっては、全てが始めてのことですし、全てが未知のことです。我々が伝えさせていただく内容によって、その方の今後が変わってしまいます。私は、伝える内容だけでなく、その言葉一つひとつも慎重に選んで伝えるように心がけています。自分の言葉は、自分の知識や経験に裏付けされているものでありますが、従業員の方々の知識や経験とは違います。そのことを理解した上で伝えないと、意味を知らないまま聴いていたり、受け止め方が全く別のものになっていたりすることもあります。自分が発する言葉の重みを知らなければならないと自戒しています。

話は変わりますが、以前、ある支援者が相手方に対して、一方的に仕事の説明を延々と行っている場面がありました。相手の知識や経験を理解せず、ただ自分の知る範囲で伝えたいことを一方的に伝えているだけでした。果たして理解できていたかは疑問です。やはり相手が理解できる言葉を選んで伝えることは重要なので、じっくりと話をして、相手が理解できたかを確認していくことが求められます。

また、以前、ある方が、自社の業務内容の説明を延々とされて、ここまで障がいのある方に対して仕事を提供しているところは他にはありませんとおっしゃっていました。更には、障がいのある方々のこれまで育んできた経験や仕事・訓練内容にまで、こうすべきだとかああすべきだとか意見を述べていました。私は聴いていて、逆に働く方々の立場に立って考えてみて、疑問が生じました。確かにもっともなこと、理論的な内容でしたが、その言葉に重みがないこと、また働く側として自分のこととして感じられませんでした。先ほどの企業の従業員の方の例もそうですが、働く側としては、必要な言葉があるります。自らが納得できる言葉が欲しいんですね。どうすべきか、どのように行うかは自らが考えるでしょう。誰もがそのきっかけとなる言葉、情報を待っています。

その想いを受け止めて、伝える言葉には重みがあります。